仕事と賃金の5指標を見る
働き方をめぐる5つの指標を、1コマにつき1指標ずつ順に表示します。各コマには国別のランキング棒グラフ、日本の値と順位、そして推移の折れ線が並びます。数値はすべて世界銀行World Development Indicators(ILOモデル推計)から取っています。
| 失業率 | 24 | 日本の失業率は2.451%で187か国中24位 |
| 労働参加率 | 80 | 日本の労働参加率は63.448%で187か国中80位 |
| 賃金労働者の割合 | 17 | 日本の賃金労働者の割合は90.949%で187か国中17位 |
| 女性の労働参加率(対男性比) | 102 | 日本の女性の労働参加率(対男性比)は78.213%で187か国中102位 |
| 工業の就業割合 | 54 | 日本の工業の就業割合は23.229%で187か国中54位 |
各コマは指標ごとに単位も対象国数も別なので、コマ同士で数値や順位を直接くらべることはできません。同じコマの中で、日本の位置と他国の広がり、そして推移の向きを読み取ってください。
要点
世界銀行のWorld Development Indicators(WDI、ILOモデル推計)に収録された5つの労働指標を並べると、日本は指標によって順位の高低がはっきり分かれます。最も目立つのは失業率で、2025年の値は2.451%、対象187か国中24位で、世界値4.791%のおよそ半分の水準にとどまります。賃金労働者の割合も90.949%で17位と上位に入る一方、労働参加率は63.448%で80位、工業の就業割合は23.229%で54位と中位、女性の労働参加率(対男性比)は78.213%で102位と真ん中より下に位置します。つまり「働いている人の失業の少なさ」や「雇われて働く形態の広がり」では上位に並びますが、「誰がどれだけ労働市場に加わっているか」を測る指標では順位が下がる、という対比が読み取れます。
出典:World Bank, World Development Indicators(SL.UEM.TOTL.ZS / SL.TLF.CACT.ZS / SL.EMP.WORK.ZS / SL.TLF.CACT.FM.ZS / SL.IND.EMPL.ZS、いずれもmodeled ILO estimate、最新年2025年)
中心指標の最新値
このテーマの先頭に置いた指標は失業率です。日本の2025年の値は2.451%で、対象187か国中24位でした。この指標では順位が上(数字が小さい)ほど失業率が低い側を意味します。同じ年の世界値は4.791%なので、日本はその約半分の水準にあり、187か国のなかでは低い側に位置していることになります。ただし後述のとおり、失業率が低いことをそのまま労働市場の良し悪しとして読むことはできません。
出典:World Bank, World Development Indicators, Unemployment, total (% of total labor force) (modeled ILO estimate)(SL.UEM.TOTL.ZS、2025年)
上位と下位の顔ぶれ
失業率が低い側(上位)を見ると、1位カタール0.13%、2位カンボジア0.263%、3位ニジェール0.394%、4位タイ0.781%、5位ブルンジ0.922%と続きます。産油国と低所得国が混在しているのが特徴で、経済の姿がかなり異なる国が同じ並びに入っています。反対に高い側(下位)は、187位エスワティニ34.202%、186位南アフリカ32.391%、185位ジブチ26.015%、184位ボツワナ24.477%、183位パレスチナ24.42%で、アフリカ南部の国が目立ちます。日本は2.451%・24位で上位寄りですが、1位のカタールとは2.3ポイント以上の開きがあります。
出典:World Bank, World Development Indicators, Unemployment, total (% of total labor force) (modeled ILO estimate)(SL.UEM.TOTL.ZS、2025年)
この10年でどう変わったか
日本の2014年から2025年までの推移は、5指標すべてで確認できます。失業率は3.589%から2.451%へ1.14ポイント下がりましたが、一本調子ではなく、期間中の最低は2019年の2.351%で、2020年に2.809%へ上がったのち再び下がって現在の水準になっています。労働参加率は59.443%から63.448%へ4.01ポイント上昇、賃金労働者の割合は88.775%から90.949%へ2.17ポイント上昇しました。上げ幅が最も大きいのは女性の労働参加率(対男性比)で、69.911%から78.213%へ8.30ポイント動いています。一方、工業の就業割合は25.126%から23.229%へ1.90ポイント下がりました。
出典:World Bank, World Development Indicators(SL.UEM.TOTL.ZS / SL.TLF.CACT.ZS / SL.EMP.WORK.ZS / SL.TLF.CACT.FM.ZS / SL.IND.EMPL.ZS、2014〜2025年)
近い国とくらべる
アメリカ・ドイツ・フランス・英国・韓国・中国と並べると、指標ごとの位置の違いがより明確になります。失業率では日本2.451%が7か国で最も低く、フランス7.542%との差は5.09ポイント(約3.1倍)ですが、韓国2.683%とは0.23ポイントの僅差です。賃金労働者の割合では日本90.949%はアメリカ93.926%、ドイツ91.851%に次ぐ水準で、韓国77.330%とは13.62ポイント、中国62.332%とは28.62ポイントの差があります。労働参加率63.448%は中国64.551%・韓国64.351%をわずかに下回り、フランス55.346%は8.10ポイント下回っています。他方、女性の労働参加率(対男性比)78.213%は7か国で最も低く、英国87.403%とは9.19ポイントの差があります。
出典:World Bank, World Development Indicators(SL.UEM.TOTL.ZS / SL.TLF.CACT.ZS / SL.EMP.WORK.ZS / SL.TLF.CACT.FM.ZS、2025年)
この数字の読み方
5指標はいずれもILOのモデル推計(modeled ILO estimate)であり、各国が独自に公表する統計と一致しない場合があります。日本についても、国内で公表される労働力調査などの数値と差が出ることがあります。定義上の注意も多く、失業率は求職活動をしている人だけを失業に数えるため、求職をやめた人は分子からも分母(労働力)からも外れます。労働参加率の分母は15歳以上の人口全体で上限年齢がなく、人口構成の影響を受けます。賃金労働者の割合は雇われて働く人の比率であり、正規・非正規といった雇用形態の別や賃金水準は区別しません。女性の労働参加率(対男性比)は水準ではなく男性を100としたときの比で、1位ブルンジのように100を超える国もありますが、それが女性の就業環境の良さを示すとは限りません。また、世界値は各国値の中央値ではなく世界全体の集計値なので、世界値を上回ることと順位が上位であることは一致しません。実際、女性の労働参加率(対男性比)は日本78.213%が世界値69.620%を上回りますが、順位は102位です。数値の増減の背景については、このデータだけからは断定できません。出所はWorld Bank WDIで年次更新され、過去の値も改定されることがあります。
出典:World Bank, World Development Indicators(SL.UEM.TOTL.ZS / SL.TLF.CACT.ZS / SL.EMP.WORK.ZS / SL.TLF.CACT.FM.ZS / SL.IND.EMPL.ZS、modeled ILO estimate)
失業率を地図とグラフで見る
低い側はカタール0.13%、カンボジア0.263%、ニジェール0.394%と産油国と低所得国が混在します。高い側はエスワティニ34.202%、南アフリカ32.391%などアフリカ南部が並び、日本は上位寄りの24位です。
棒グラフでは上位と下位の差が34ポイント以上に開きます。日本の推移は2014年3.589%から2019年2.351%まで下がり、2020年2.809%へ上がった後2025年2.451%に戻っています。
国を選んでくらべる
労働参加率
上位はカタール87.013%、マダガスカル85.495%、ソロモン諸島84.296%。下位はサントメ・プリンシペ23.342%、ジブチ31.744%、イエメン33.103%で、日本63.448%はその中間にあたります。
棒グラフでは上位と下位で60ポイント超の開きがあります。日本の折れ線は2014年59.443%から2025年63.448%へ4.01ポイント上向きに動いています。
賃金労働者の割合
上位はカタール99.168%、バーレーン97.559%、クウェート96.839%。下位はチャド8.439%、ニジェール10.522%、シエラレオネ11.192%で、日本はアメリカ93.926%、ドイツ91.851%に続く17位です。
棒グラフの開きは90ポイント超と5指標で最も大きくなります。日本の折れ線は2014年88.775%から2025年90.949%へ2.17ポイントの緩やかな上昇です。
女性の労働参加率(対男性比)
上位はブルンジ103.283%、モルドバ100.123%、ベナン96.913%。下位はアフガニスタン7.291%、イエメン7.616%、イラク15.069%で、日本78.213%は中位より下に位置します。
棒グラフでは100超から7%台まで広がります。日本の折れ線は2014年69.911%から2025年78.213%へ8.30ポイント上昇し、5指標で最大の変化幅です。
工業の就業割合
上位はオマーン39.435%、カタール38.020%、バーレーン34.906%、チェコ34.894%。下位は南スーダン1.672%、ブルンジ3.103%、東ティモール3.804%で、日本23.229%は韓国23.383%とほぼ並びます。
棒グラフでは上位と下位で37ポイント超の差があります。日本の折れ線は2014年25.126%から2025年23.229%へ1.90ポイント下向きに動いています。