仕事と賃金の世界統計
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失業率ランキングを読む前に――労働参加率との組み合わせで見える国の違い

仕事と賃金について、世界の統計を定点観測する

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ランキングは「働ける社会」の成績表ではない

世界各国の失業率や労働参加率を並べると、国ごとの雇用情勢を一度に見渡せます。しかし、順位だけを追うと、働く人の実態を取り違えるおそれがあります。

失業率は、仕事を探している人のうち、仕事が見つかっていない人の割合を示す指標です。仕事を探していない人は、失業率の分母に入りません。そのため、職探しをあきらめた人や、家庭の事情、健康、教育、地域の雇用環境などによって就職活動をしていない人が多い社会では、失業率だけでは仕事への参加状況を十分に捉えられません。

一方、労働参加率は、働いている人と仕事を探している人を合わせた労働力が、対象となる人口の中でどの程度を占めるかを示します。こちらは、失業しているかどうかだけでなく、そもそも労働市場に参加している人がどのくらいいるのかを見る指標です。

二つの指標を組み合わせて読む

同じように失業率が低い国でも、労働参加率が高い国と低い国では意味が異なります。労働市場に参加している人が多いのに失業率が低ければ、働き手の多くが仕事に就いている状態と考えられます。反対に、労働参加率が低いまま失業率も低い場合、仕事を探している人自体が少ない可能性があります。

見る組み合わせ読み取れる可能性注意点
失業率が低く、労働参加率が高い参加者の多くが就業している仕事の質や賃金は別に確認する
失業率が低く、労働参加率が低い求職者が少ない、または労働市場外の人が多い低失業率だけで判断しない
失業率が高く、労働参加率が高い仕事を求める人は多いが、就業に結びついていない景気や産業構造を確認する
失業率が高く、労働参加率が低い労働市場への参加と就業の双方に課題がある可能性定義や調査方法の違いに注意する

この組み合わせが、単純な順位表にはない読み方を与えます。日本の読者が自国の位置を確認する場合も、失業率の順位だけを見るのではなく、労働参加率、年齢層、性別、就業形態を一緒に確認することが重要です。

「参加している」と「安定して働ける」は別の話

労働参加率が高くても、短時間の仕事、臨時的な仕事、本人が希望しない働き方が多ければ、生活の安定や賃金の水準まで保証されるわけではありません。逆に、失業率が高い場合でも、求職活動が活発で、よりよい仕事を探す人が多い社会では、労働市場への関心が強く表れていることがあります。

したがって、失業率と労働参加率は、雇用の良し悪しを単独で判定する指標ではありません。どの範囲の人口を対象にしているか、調査時点はいつか、失業や就業をどのように定義しているかを確認して、初めて国際比較の意味が生まれます。

産業構造と国内統計を手がかりにする

産業別の雇用構成を示す資料は、失業率や労働参加率の背景を考える手がかりになります。農業、工業、サービス業など、どの分野に仕事が集まっているかによって、必要な技能、雇用の季節性、地域間の仕事の分布は変わります。産業構造の変化は、労働市場への参加しやすさや、仕事を失った後の再就職のしやすさにも関係します。

また、国内の公的統計には、学歴別の分布や新規学卒者の初任給に関する表があります。これらは失業率そのものを示す資料ではありませんが、教育から仕事への移行や、働き始めた人の待遇を考える補助材料になります。失業率と労働参加率を、賃金や学歴、産業別雇用の資料と結びつけることで、順位表の背後にある働き方の違いをより立体的に理解できます。

出典

https://ourworldindata.org/grapher/the-rise-and-fall-of-the-share-of-employment-in-industry-18702018

https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003447279

https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003286722

https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003031039